ハードウェア アクセラレーション チュートリアルxilinx.com の Vitis™ 開発環境を参照 |
複数 DDR バンクの使用¶
バージョン: Vitis 2022.1
入門チュートリアル
Vitis™ コア開発キットでは、カーネルと DDR の間のデータ転送に、デフォルトでは 1 つの DDR バンクが使用されます。アプリケーションによっては、データの移動がパフォーマンスのボトルネックになることがあります。カーネルがグローバル メモリ (DDR) と FPGA の間で多量のデータを移動する必要がある場合、複数の DDR バンクを使用できます。これにより、カーネルが複数のメモリ バンクに同時にアクセスできるようになり、アプリケーションのパフォーマンスが向上します。
v++
コマンドに --sp
オプションを使用してシステム ポート マップを指定すると、カーネル ポートを DDR や PLRAM などの特定のグローバル メモリ バンクにマップできます。このチュートリアルでは、カーネル ポートを複数の DDR バンクにマップする方法を示します。
チュートリアルの概要¶
このチュートリアルでは、単純な Vector Addition サンプルを使用します。このサンプルは、vadd
カーネルが in1
および in2
からデータを読み出し、結果 、out
を生成します。
このチュートリアルでは、3 つの DDR バンクを使用して Vector Addition アプリケーションをインプリメントします。
Vitis コア開発キットのデフォルトでは、カーネルとグローバル メモリの間のデータ転送に 1 つの DDR バンクが使用され、in1
、in2
、および out
ポートを介するすべてのデータ アクセスがプラットフォームのデフォルト DDR バンクを介して実行されます。
これを、次のようにアクセスするように変更します。
in1
→Bank0
in2
→Bank1
out
→Bank2
必要なマップを達成するには、Vitis コア開発キットで各カーネル引数が適切なバンクに接続されるように設定します。
このチュートリアルの例では C++ カーネルを使用しますが、RTL および OpenCL™ API カーネルでも手順は同じです。
開始前の確認事項¶
このチュートリアルでは、次を使用します。
BASH Linux シェル コマンド。
2020.2 Vitis コア開発キット リリースおよび xilinx_u200_xdma_201830_2 プラットフォーム。必要であれば、ほかのバージョンおよびプラットフォームを使用するように変更することもできます。
重要:
例を実行する前に、『Vitis 統合ソフトウェア プラットフォームの資料』 (UG1416) のアプリケーション アクセラレーション開発フローのインストールの手順に従って、Vitis コア開発キットをインストールしてください。
ザイリンクス Alveo™ データセンター アクセラレータ カードでアプリケーションを実行する場合は、Alveo ポートフォリオ ページの手順に従って、カードとソフトウェア ドライバーを正しくインストールしてください。
チュートリアル リファレンス ファイルの入手¶
リファレンス ファイルを入手するには、ターミナルに
git clone https://github.com/Xilinx/Vitis-Tutorials
と入力します。Hardware_Acceleration/Feature_Tutorials/04-mult-ddr-banks
ディレクトリに移動し、reference-files
ディレクトリにアクセスします。
チュートリアルの設定¶
次のコマンドを実行して Vitis コア開発キットを設定します。
#setup Xilinx Vitis tools, XILINX_VITIS and XILINX_VIVADO will be set in this step. source <VITIS install path>/settings64.sh. for example: source /opt/Xilinx/Vitis/2022.1/settings64.sh #Setup runtime. XILINX_XRT will be set in this step source /opt/xilinx/xrt/setup.sh
makefile オプションの説明
MODE := hw_emu
: ビルド コンフィギュレーション モードをハードウェア エミュレーションに設定します。PLATFORM := xilinx_u200_gen3x16_xdma_2_202110_1
: ターゲット プラットフォームを選択します。KERNEL_SRC := src/vadd.cpp
: カーネル ソース ファイルをリストします。HOST_SRC := src/host.cpp
: ホスト ソース ファイルをリストします。
前述のように、デザインのデフォルト インプリメンテーションでは 1 つの DDR バンクが使用されます。[Console] ビューにリンク段階で表示されるメッセージを確認します。次のようなメッセージが表示されます。
ip_name: vadd Creating apsys_0.xml INFO: [CFGEN 83-2226] Inferring mapping for argument vadd_1.in1 to DDR[1] INFO: [CFGEN 83-2226] Inferring mapping for argument vadd_1.in2 to DDR[1] INFO: [CFGEN 83-2226] Inferring mapping for argument vadd_1.out to DDR[1]
Vitis コア開発キットにより、
--sp
が設定されていない各カーネル引数に対してマップが自動的に推論されているのがわかります。check
オプションを使用して make コマンドを実行し、ハードウェア エミュレーションを実行します。make run
シミュレーションが終了すると、次に示すようにカーネル データ転送のメモリ接続がレポートされます。
TEST PASSED INFO: [Vitis-EM 22] [Wall clock time: 22:51, Emulation time: 0.0569014 ms] Data transfer between kernel(s) and global memory(s) vadd_1:m_axi_gmem0-DDR[1] RD = 0.391 KB WR = 0.000 KB vadd_1:m_axi_gmem1-DDR[1] RD = 0.391 KB WR = 0.000 KB vadd_1:m_axi_gmem2-DDR[1] RD = 0.000 KB WR = 0.391 KB
この後、データ転送を次の 3 つに分割する方法を示します。
DDR Bank 0
DDR Bank 1
DDR Bank 2
v++ リンカー オプションの設定¶
v++
カーネル リンカーでカーネル引数が対応するバンクに接続されるように設定します。sp
オプションを使用して、カーネル ポートまたはカーネル引数をマップします。
カーネル引数
sp = <kernel_cu_name>.<kernel_arg>:<sptag>
<kernel_cu_name>
: 計算ユニット (CU) 名。カーネル名にアンダースコア (_
) と値1
から開始するインデックス (index
) を付けたものになります。たとえば、vadd カーネルの計算ユニットの名前はvadd_1
などになります。<kernel_arg>
: CU の関数引数。vadd カーネルのカーネル引数は、vadd.cpp
ファイルに含まれます。<sptag>
: ターゲット プラットフォームで使用可能なメモリ リソース。有効な <sptag> 名は DDR、PLRAM などです。このチュートリアルでは、DDR[0]
、DDR[1]
、およびDDR[2]
を使用します。<sptag>[min:max]
のようにすると、範囲を指定できます。
vadd カーネルの
sp
コマンド オプションを定義し、これを makefile に追加します。カーネル インスタンス名は
vadd_1
になります。vadd カーネルのカーネル引数は、vadd.cpp
ファイルで指定します。カーネル引数 (in1
、in2
、およびout
) はDDR[0]
、DDR[1]
、およびDDR[2]
に接続する必要があります。このため、sp
オプションは次のようになります。sp = vadd_1.in1:DDR[0] sp = vadd_1.in2:DDR[1] sp = vadd_1.out:DDR[2]
引数
in1
は DDR Bank0 にアクセス引数
in2
は DDR Bank1 にアクセス引数
out
は DDR Bank2 にアクセス
3 つの
sp
オプションがconnectivity.cfg
ファイルに追加され、その config ファイルを使用するために makefile を変更する必要があります。makefile を開き、18 行目をコメントして 19 行目のコメントをはずし、
v++
リンカー オプションに config ファイルを追加します。# Linker options to map kernel ports to DDR banks #VPP_LINK_OPTS := --profile.data all:all:all VPP_LINK_OPTS := --config connectivity.cfg
config ファイルの使用は、Vitis ソフトウェア プラットフォームの新機能です。異なるファイルにオプションを含め、それらのファイルを
--config
を使用して指定すると、ビルドに含めることができます。変更を保存したら、[HW-Emulation] モードでデザインのビルドを終了します。
make clean make all LAB=run2
[Console] ビューにリンク段階で表示されるメッセージを確認します。次のようなメッセージが表示されます。
ip_name: vadd Creating apsys_0.xml INFO: [CFGEN 83-0] Port Specs: INFO: [CFGEN 83-0] kernel: vadd_1, k_port: in1, sptag: DDR[0] INFO: [CFGEN 83-0] kernel: vadd_1, k_port: in2, sptag: DDR[1] INFO: [CFGEN 83-0] kernel: vadd_1, k_port: out, sptag: DDR[2] INFO: [CFGEN 83-2228] Creating mapping for argument vadd_1.in1 to DDR[0] for directive vadd_1.in1:DDR[0] INFO: [CFGEN 83-2228] Creating mapping for argument vadd_1.in2 to DDR[1] for directive vadd_1.in2:DDR[1] INFO: [CFGEN 83-2228] Creating mapping for argument vadd_1.out to DDR[2] for directive vadd_1.out:DDR[2]
このメッセージには、Vitis コア開発キットが
--sp
オプションの設定に基づいて、カーネル引数を指定の DDR バンクに正しくマップしたことを示しています。ハードウェア エミュレーションを実行して、デザインが正しいかどうか確認します。
make run LAB=run2
シミュレーションが終了すると、次に示すようにカーネル データ転送のメモリ接続がレポートされます。
TEST PASSED
INFO: [Vitis-EM 22] [Wall clock time: 23:15, Emulation time: 0.054906 ms] Data transfer between kernel(s) and global memory(s)
vadd_1:m_axi_gmem0-DDR[0] RD = 0.391 KB WR = 0.000 KB
vadd_1:m_axi_gmem1-DDR[1] RD = 0.391 KB WR = 0.000 KB
vadd_1:m_axi_gmem2-DDR[2] RD = 0.000 KB WR = 0.391 KB
vadd.hw_emu.xclbin.run_summary
を開いてプロファイル サマリ レポートの [Kernel to Global Memory] セクションでデータ転送を確認することもできます。
vitis_analyzer vadd.hw_emu.xclbin.run_summary
各カーネル引数に割り当てた DDR バンクと、ハードウェア エミュレーション中の各インターフェイスのトラフィックが表示されます。
まとめ¶
このチュートリアルでは、カーネル vadd の in1
、in2
、および out
ポートのデフォルトのマップを 1 つの DDR バンクから複数の DDR バンクに変更する方法を示しました。次の方法も学びました。
--sp
オプションを使用してv++
リンカー オプションを設定し、カーネル引数を複数の DDR バンクに接続。アプリケーションをビルドして DDR マップを確認。
ハードウェア エミュレーションを実行し、各ポートの転送レートおよび帯域幅使用率を確認。
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